Multimodal transport

マルチモーダル輸送

 

マルチモーダル輸送とは、1つの契約で、1社がまとめて責任を負う形で、陸送、鉄道、海上、航空、はしけ(バージ)など2つ以上の輸送手段を組み合わせて貨物を移動させる仕組みです。

 

コスト削減への圧力、輸送状況を見える化する技術、脱炭素化の目標を背景に、市場は急速に拡大しています。市場規模は2024年に448億米ドルに達し、更なるコスト削減圧力、物流の見える化技術の向上、そして脱炭素化の影響で、2034年には994億米ドル(年平均成長率 8.3%)になると言われています。

Keepeek
Delta 3 Combined Transport Terminal Swap body Gantry crane

マルチモーダル輸送とインターモーダル輸送の違い

 

両方とも複数の輸送手段を組み合わせる複合一貫輸送を指しますが、その契約形態と責任の所在には明確な違いがあります。

インターモーダル輸送
区間別・ 個別手配型です。輸送区間ごとに個別の契約を結び、各運送業者が担当区間の責任を負います。荷主は業者間の引き継ぎを調整する必要があり、契約でカバーされない部分のリスクも負います。

マルチモーダル輸送
一括契約型です。1社の輸送業者が単一のB/L・単一の契約で手配を行い、出発地から最終目的地までの輸送全体に責任を負います。窓口が一本化されるため、損害賠償請求への対応やスケジュール管理が簡素化されます。

マルチモーダル輸送の国際規則

 

マルチモーダル輸送では、責任の範囲などを定めるために「UNCTAD/ICC複合運送証券規則」が用いられます。
輸送業者がこれを契約に組み込むことで、用語の定義、運送証券の証拠としての効力、事業者が責任を負う期間、賠償責任の限度額などについて、共通の基準を適用できます。また、信用状取引で用いられる「信用状統一規則(UCP 600)」との整合性も考慮されています。

マルチモーダル輸送に必要な書類

 

  • FIATA複合一貫輸送船荷証券(FBL)
    UNCTAD/ICC複合運送証券規則に準拠した、譲渡可能な権利証券です。電子形式の「eFBL」も利用できます。
  • FIATA複合運送状(FWB)
    FFBLとは異なり、譲渡を前提としない運送状です。取引条件に応じて、FBLまたはFWBを使用します。 
  • 商用書類・通関書類
    商業インボイス、パッキングリスト(梱包明細書)のほか、必要に応じて原産地証明書、危険物関連書類、衛生・検疫関連の証明書などを用意します。


対応する輸配送管理システムから電子船荷証券を直接発行することで、書類作成や受け渡しを効率化できます。QRコードで書類が正規に発行されたものかを確認でき、偽造や不正のリスク低減に役立ちます。

マルチモーダル輸送が脱炭素化の鍵となる理由

 

マルチモーダル輸送は、トラックだけで運ぶ場合に比べて、エネルギー消費やCO₂排出量を抑えられる可能性があります。
欧州連合(EU)の複合輸送指令の改正案では、トラックのみの輸送と比べて、温室効果ガス、大気汚染、渋滞などが社会にもたらす負担を40%以上削減できる輸送を、支援の対象とする方針が示されています。支援策には、週末のトラック走行禁止の適用除外などがあり、対象となる輸送のコストを10%削減する目標も掲げられています。
データ包絡分析(DEA)を用いた研究でも、鉄道と水上輸送を組み合わせることで、トラックのみの輸送に比べてエネルギー消費量や輸送量当たりのCO₂排出量を大幅に削減できることが示されています。こうした研究結果は、政策による支援の根拠にもなっています。
さらに、原文が紹介する2025年の学術誌掲載論文『Journal of Cleaner Production』では、政府と企業が連携して輸送を最適化することで、対象ルートの排出量をさらに平均18%削減できるとされています。

デジタルツインとリアルタイム可視化がもたらす効果

 

輸送計画におけるデジタルツイン(DT)は、リアルタイムのIoTデータを取り込んだバーチャルレプリカで、異なる輸送手段をまたぐルート選定や滞留時間、CO₂排出量のトレードオフをシミュレーションします。2025年の系統的レビューによると、デジタルツインに関する研究の75%以上が2021年以降に発表されており、貨物フローの予測やサプライチェーンの混乱への対応シナリオ向けに、同技術の導入が急速に進んでいることが分かります。 

マルチモーダル輸送の成果を測るKPIとコスト要素

 

  • 全区間を通じた定時・完全配送率(OTIF)
  • ターミナルでの中継・積み替え待ち時間
  • 最終目的地までの輸送量あたりトータルコスト(乗り換え費用を含む)
  • 国際基準(EN 16258 / GLEC)に基づく貨物ごとのCO₂排出量
  • 貨物の破損率とイレギュラー発生率

これらの指標は、複合一貫輸送の総コストを左右する3大要素である、各手段の運賃、ターミナルでの荷役料、(遅延対策の)安全在庫コストのバランスを最適化するために不可欠です。さらに、近年投資家から厳しくチェックされているCO₂排出量(スコープ3)への対応にも直結しています。  

マルチモーダル輸送の最新の市場見通し

 

市場アナリストの予測によると、ニアショアリングやECの貨物量増加、さらには鉄道や内航水路の利用に対する政府の優遇策が追い風となり、マルチモーダル輸送市場は2034年まで年平均8%以上のペースで拡大を続ける見通しです。また、IoTトラッカーやAIを活用したルート最適化、CO2排出量計算ツールなどの最新テクノロジーにより、リードタイムのさらなる短縮や、トラックの実車率の改善が進むとみられています。